魔力が宿ってる花・・・・・・ああ、スミだ。

私と夏帆さんとでお世話をしている、あの綺麗な花。

希少種だから、あまり手に入らないけど

ここ、夢の中ですからね。

なんでもありだな〜。

「で・・・・・・お母様はどうしてここに?」

『私は、皆さんを救うために、ここにいます』

「みんなを、救う?」

お母様の声を繰り返した。ドレスの裾をひるがえし、背を私に向け、言う。

『私は女王・・・・・・ですから、死んでもなお役目はあります。国民を守る役目が』

国民を───私たちを守る、役目。

『私のような存在は、もういません。先代の女王様は、私が来たと同時に姿を消しましたから』

先代の女王様・・・・・・私の、おばあ様だ。あったことはあるらしいんだけど、顔は覚えてない。私が小さい頃に亡くなってるから。

『月の女神様を、知っていますか?」

急に、話題が変わった。

「月の女神様・・・・・・セレネー様、ですか?」

『あなたには、セレネー様から加護を受けています。臆することはありません』

お母様は私の方に顔を向けた。金色の瞳で私を見据える。

『命を投げ打ってでも、皆さんを守り抜きなさい。必ず、セレネー様がお助けしてくれるから』

最後に、ニッコリと笑って、お母様は消えていった。

花畑には、美しい花が溢れ、風に乗って揺れている。