「帰ってるんだけど…?」
私に当たり前の事を聞かれて、斎藤君はあからさまに困惑顔になった。
「あっ、そっか…」
なんて馬鹿な質問をしてしまったんだろう、と後悔する。
「ごめんねっ!…っ、また明日!」
恥ずかしさから赤くなった顔を斎藤君から背け、私は逃げるようにして遠ざかろうとする。
「…待って!」
背後から、斎藤君の呼び止める声が響く。
「ん?」
私は振り返り、斎藤君の目を見据えた。
その目は、しきりに左右へ動いていて。
勉強の質問だろうか。
(私の苦手な教科だったら、上手く教えられるかな…?)
なんて事を考えていると、不意に斎藤君が口を開いた。
「あのさ…」
「ずっと言おうか、迷ってたんだけど…」
「…うん」
斎藤君は、ためらいがちに口を開く。
「…雪は、好き?」
あまりにも唐突な質問に、私は戸惑いながらも答える。
「うん、好きだけど…?」
見たら苦しくなるけれど、雪自体は好きだ。
何でそんなことを聞くんだろう。
「じゃあ何で、雪見たら保健室に行くの?」
とたんに私の顔の筋肉はこわばった。
(聞かないで、気づかないで)
「別に、雪を見たからじゃないよ」
嘘。
しばしの沈黙が私と斎藤君の中で流れる。
私に当たり前の事を聞かれて、斎藤君はあからさまに困惑顔になった。
「あっ、そっか…」
なんて馬鹿な質問をしてしまったんだろう、と後悔する。
「ごめんねっ!…っ、また明日!」
恥ずかしさから赤くなった顔を斎藤君から背け、私は逃げるようにして遠ざかろうとする。
「…待って!」
背後から、斎藤君の呼び止める声が響く。
「ん?」
私は振り返り、斎藤君の目を見据えた。
その目は、しきりに左右へ動いていて。
勉強の質問だろうか。
(私の苦手な教科だったら、上手く教えられるかな…?)
なんて事を考えていると、不意に斎藤君が口を開いた。
「あのさ…」
「ずっと言おうか、迷ってたんだけど…」
「…うん」
斎藤君は、ためらいがちに口を開く。
「…雪は、好き?」
あまりにも唐突な質問に、私は戸惑いながらも答える。
「うん、好きだけど…?」
見たら苦しくなるけれど、雪自体は好きだ。
何でそんなことを聞くんだろう。
「じゃあ何で、雪見たら保健室に行くの?」
とたんに私の顔の筋肉はこわばった。
(聞かないで、気づかないで)
「別に、雪を見たからじゃないよ」
嘘。
しばしの沈黙が私と斎藤君の中で流れる。



