それから二十年の月日が流れた。



刑事となった栞が配属されたのは、捜査八課。



約二十年前に、特別に作られた刑事部だ。



ここはほかの課とは違って、事件が起きてもすぐには捜査に加わらない。


八課が呼ばれるのは事件発生から一ヶ月経っても、解決出来なかったときのみだ。


さらにそれから一週間以内に解決しなければ、その事件は八課のみで行う。



つまり八課は、未解決事件を取り扱う部署なのだ。



この部署が出来たのは、事件が解決しないうちに新しい事件が起こることが増え始め、その対応をするためである。



しかしそれを知らない、周りの刑事はこの部署を「ゴミ処理班」と呼んでいる。



それに加えて、八課のメンバーは優秀でありながら、性格に少々難ありだ。



だからか、ほかの課からは「あいつらみたいになりたくない」だの「八課に配属されたくない」と馬鹿にされ、見下され、けなされている。



しかし、当の本人たちはこの部署を気に入っているため、そのような噂は気にしていなかった。



実際、捜査本部に呼ばれて陰口を言われても、一切気にしない。


それどころか、事件現場に足を向けることなく、その場にある資料だけで解決している。


それを見て、外野は黙るしかない。