実は料理も半分、奏汰が作ってくれたのだ。

「お酒、なにを召し上がられますか?」
 奏汰は、カウンターで小粋に酒まで作ってくれる。

 他人の夫なら、いい旦那さんだな、と思うとこだが。

 なにか妻の面目丸つぶれだな、と拗ねていた。

 だが、本来、拗ねるべきところでないのはわかっている。

 奏汰がもてなしてくれているのは、自分の両親なのだから。

「まあ、素敵な旦那さんで、よかったわね、つぐみ」

 甘いカクテルを奏汰に作ってもらい、ほろ酔い加減で母が言う。

「そんなことないわ。
 奏汰さんは――」
となにか反論しようとしたが、悔しいことに、なにも思い浮かばない。

「奏汰さんは――

 私がせっかく、あげたイカにケチをつけるし」

 カウンターから、他に反論することなかったのか、という哀れんだ目で奏汰がこちらを見ていた。

 ない。

 残念ながら。

 だが、みんな、かなり酒が入ってきて、そのうち、暴露合戦になっていった。