眠らせ森の恋

 ……あったかな、すごいお茶、と思い、振り返っている間に、
「秋名が持って行くと言っています。
 はい、では」
と言って、西和田は電話を切った。

 椅子を回してこちらを見、
「持っていけ」
と言ってくれる。

「はいっ。
 ありがとうございますっ!」
と祈るように見上げて言うと、西和田は目をそらし、言ってきた。

「いいから、早く立て。
 そこに居ると餌やらなきゃいけない気がしてくるから」

 うちの犬みたいで、と言う西和田に、

「犬飼ってたんですか」
と言うと、

「ぼーっとしたマヌケ顔の犬だ。
 実家に居る」
と言う。

 ……なにかもうちょっと可愛らしいものに例えて欲しかったな、と思いながらも、感謝し、
「ありがとうございますっ。
 行って参りますっ!」
と言って、つぐみは立ち上がった。