「落ち着いた?」



香苗の問いかけに首を縦に振る。


あたしが落ち着いたころには、もうほとんどの生徒が帰っていた。



「綾乃、帰ろ?話があるなら聞くし」


「ううん、大丈夫。また今度聞いてね」



あたしたちは下駄箱まで一緒に行き、その場で別れた。



次の日、あたしは学校を休みたくて仕方なかった。


それでもどうなったかが知りたくて、重たい足取りで学校に向かった。



教室に入ると、もう大川は来ていた。



「岡田!上手くいったぞ!」



あたしを見て第一声がそれ。


せめて、挨拶にしてほしかった。



それでこの苦しみが変わるかって言われたら話は別だけど。



「でさ、イブにイルミネーション見に行こうぜ。美玲が岡田にお礼したいんだと。あ、なんなら男子もう一人……」



大川はそこまで言って、止まった。


あたしたちの間に香苗が入ってきたからだ。



「大川さー、もっと綾乃のこと考えなよ」


「香苗、もういいから」



香苗は確実に怒っている。


それでも、今香苗があたしの気持ちを言ってしまったら、大川を困らせてしまう。


さらに、もう友達ですらいられないかもしれない。