王子が渋々着替えている最中に朝食の準備をし、部屋へ舞い戻る。
気怠そうに椅子に座る王子の姿は、いつものことだ。

「さあ王子、朝食ですよ。お召し上がりください!」

「……いただきます」

そう言ってフォークを料理に伸ばすものの、なかなか食は進まない。

こちらとしては片付かないから早めに済ませて欲しいと思うが、朝起きるようになっただけよしと今は考えるしかなく、急かすことはできなかった。

だからその間にできることをする。
食事の邪魔にならないようなベッドメイクや、湯浴み場の掃除などが主だ。


せっせと新しいシーツを皺なくセッティングしていると、王子は突然私を呼んだ。



「――なあ」


声を掛けられることはなかなかない。

いつも私が一方的に話し掛けていただけだから、少し驚いて体を跳ねらせた。



「え?は、はい、なんでしょう」

「お前さ、毎日こんなことやって楽しい?」