――それから10日ほど日が経つ。
相変わらず、王子が部屋の外に姿を現すことはない。
あれからセリスに期間限定で10日間だけ、朝の声掛けと食事を運んだときの声掛けを、他の使用人にやってもらえないか?とお願いをしていた。
それは王子に私が諦めて辞めたと思わせるための罠。
私の声が聞こえている以上、王子が気を許すことはないと判断したためである。
セリスは快く了承してくれ、普段洗濯係をしている使用人に仕事を頼み、代わりに私はその間洗濯係として働いて、その日が来るのを待った。
洗濯係の仕事は、それなりに重労働ではあるけれど、すべてを干し終わったときの爽快感といったら、言葉では言い表せないくらいに清々しい。
真っ白なシーツが外の風に、パタパタと音を立てながら舞うように靡く。
それを満足げに眺めるのが心地よい。
本来なら洗濯係は貴族出の人間がやるものではないけれど、今回だけは特別。
いい経験をさせてもらったと思う。
どうせならこのまま洗濯係でもいいかも……、なんて思ったけれど、さすがにそれは許されないだろう。


