複雑な思いを抱えながらも、私はセリスから仕事の内容を教えられる。

内容としては、朝起こすことから始まり、服の準備やベッドメイクなど多岐に渡る。


そもそも部屋にすら入れないかもしれない時点で、その仕事自体詰んでいるような気はするけれど、それでもとにかく今は仕事を頭の中に叩きいれるしかなかった。


結局その日は、基本的な仕事の内容のみで終わり、翌日は城内の説明。


洗濯場、調理場、倉庫や馬舎の場所。

さらに侍女が入っていい場所や踏み込んではいけない領域。


さすがこの国の中心となる所なだけあって、部屋の数も多く複雑な作りとなっていた。


夜会で訪れるときは、エントランスと夜会の主会場となる大広間、そしてバルコニーくらいしか使わないものだから、まさかここまでとは思わず、驚いてしまった。


城内がここまで複雑なのは、敵国に攻め入られたときのことを考えているからでもある。



理由を聞けば納得はできるが、にしたって、これだけの数と場所。

ちゃんと覚えられるかどうか、不安で仕方ない。