「うーん、そうねぇ」


私はまじまじと王子の顔を見た。

王子は真剣な眼差しで、それから続く言葉を待っている。


「私の理想、……からすれば、少し離れているかもしれないですわ」


その言葉に、王子はがっくりと肩を落とした。



しかし私は続けて王子に告げる。


――最高の笑みを添えて。




理想はあくまでも理想。

大切なのは、今王子が私にとってどういう存在なのか。


それは理想よりも遥かに重要なことだから。





「でも、私にはもったいないくらい、素敵な王子様ですわ」






~完~