「……そんなことより」


と言うやいなや、突然私の体が後ろの王子に引き寄せられた。

耳元に王子の吐息がかかり、ドキッと胸が鳴る。


最近は、こうやって突然私を抱きしめることが多くなった。

初めは驚いて緊張してしまったものだが、今では抱きしめられることで心の安定に繋がっている。

求められることは幸せなことだとつくづく思う。


「あー……、安心する。やっぱりララ身体は抱きしめがいがあるよ」

「その言い方。太ったとおっしゃいたいのです?」

「いやいや、そういうわけじゃない。程よい弾力とふわっとした感触?……なんと表現したらいいか難しいんだが、とにかく心地が良くて頑張ろうって思えるんだ。ララは俺の活力だよ」

「……まあ」

それは私も一緒だった。
同じ気持ちでいることがとても嬉しかった。

王子がいるから頑張れる。
厚い胸板から感じる力強い鼓動に元気を貰える。

そしてなにより安心できる場所。


この大切な場所を無くさないように、これからも精進しなければ。