「だからね考えておいてよ。そしてこれを機にもっとララのことが知りたいんだ。だから一曲、僕と踊ってくれないかな?兄さんはあの通り忙しくて君のこと構う暇もないだろうし」
「え?だ、ダンスですか?」
「うん。でも拒否はさせないよ。なぜなら、強引にでも連れて行っちゃうから」
そう言い終えた瞬間、手に持っていたグラスを奪い傍にあったテーブルに置くと、言葉通りリフィト王子は私の手を引いて、無理矢理大広間へと戻る。
そしてそのまま部屋の中央へと私を連れて行き、腰に手を回して音楽に合わせ踊り始めた。
さすがリフィト王子。ダンスの技術も素晴らしい。
まるで私は操り人形かのごとく、思いのままに動かされていく。
けれどこの密着ぶり。
いくらダンスとはいえ、私がリフィト王子と親しい間柄であると勘違いされてしまうじゃないか。
離れたいという気持ちはあるのに、がっちりと身体を固定されていて身動きが取れない。
……どうしよう。
音楽よ、早く終わって。
王子には気づかれたくないの。
私がリフィト王子と踊っているところを、王子だけには見られたくない……!


