「な、なにを仰っているのです?私は王子のことなど……」

「好きなんでしょう?」

「そんなわけ!」

動揺を押し殺して否定するが、声はわずかに震えていた。
そんな私に、リフィト王子はまた笑みを浮かべる。

「そういう強がっているところも可愛いね。自分では気づいていないだろうけど、ララはとても分かりやすいよ。ちょっと見ただけでもララが兄さんを好きなんだって分かった。君が兄さんを見る瞳は、まさに恋をしている目だもの」

「な……」

「瞳は嘘をつかないんだよ」


そう言って、リフィト王子は私の頬を撫でた。


自分はそんな風に王子を見ていたつもりなんてなかった。
でも分かる人には分かるらしい。

現にリフィト王子は、私の思いに気づいてしまった。
誰にも言うことなく、この胸の中に留めておくつもりだったのに。


恥ずかしさに耐え切れなくなり、俯く。

瞳は嘘をつかない。
そんなことを言われたら、なおさらリフィト王子には見せたくない。


そんな私にリフィト王子は、フフッと意地悪な声を出して笑った。