気を取り直し、部屋へ戻ると待機していたリュカに話の内容を伝えた。

聞いたリュカは大変に驚き、けれど私が城へ上がるのは大きな名誉であると言って、早速城へ行くための準備をすると慌てて部屋を出ていく。


リュカが慌てるのも仕方ないだろう。


私は自分の身の回りの整理だけすればいいが、リュカには私が城へと行く際に着るドレスやその他、必要なものを準備しなければならないのだから。


それが使用人の仕事であって、……いずれ私もその仕事を請け負うことになるのね。


そう考えると、深いため息が出る。



やっぱり不安しかない。

色んな重圧が私を襲って、押しつぶされてしまいそうだ。



いつもなにか嫌なことが起きたときは、本に逃げるのが定番の私だったが、このときばかりはどうしても本を読む気にはなれなかった。



ただ窓から外を眺めて、ため息を零すしかできなかった。