まったく、人の気も知らないで。
どんな人間かも分からない相手の侍女をするなんて、それだけでも気が重いというのに。
ましてやそのお方が第一王子……。
つまりは次期国王となられる方。
けれど、いずれ国王になられる方が、そんな素性の謎な人物で大丈夫なのだろうか?
疑問に思うことも、不安に感じることもたくさんある。
けれど今考えたところで解決なんてしない。
それはすべて城に行かなければ解決しないのだろう。
しょうがない。
どういった理由で私が選ばれたのかは分からないけれど、王妃様の願いだもの。
受け入れなきゃいけないわよね。
これは、王妃様への恩返し。
これまで私をたくさん、憧れの世界へ連れていってくれたお返しだと思うしかないわ。


