そう言われてしまえば、どうしようもない。

自分には拒否権なんてあるわけもないから、疑問があったって従うしかないのだけれど。


でも、私にしか頼めないっていったいどういう理由からなのだろう。

私は王妃様に手紙しか送っていない。

それも自分の素性を知りうることができるのは名前だけで、手紙の内容はお話の感想だけしか書いていないのに。


「とにかく行かないと分からない、ということなのですね」

「そうだ。お前には苦労をかけるかもしれないが、逆に言えばチャンスでもある。もしかしたら」

「……それ以上は言わなくて結構ですわ、お父様。なにを言おうとしているか、もう嫌というほど存じておりますから」



このまま座っていては、またいつものお小言になると思い、早々に席を立ち部屋をあとにした。


父はやはり、あちらからの命令であるから仕方ないと思いつつ、そのわずかな期待も持ち合わせているのだろう。