なんと。

夜会などの場には、いつも派手な王族服を纏って誰にでも積極的に接する、リフィト王子が出席していたものだから、てっきり私は今までリフィト王子を第一王子として認識していたが、まさか上に兄がいたとは知らなかった。


正直、王妃様の書くお話にしか興味がなかったものだから、現実的なところに無知だったという理由もあるけれど。


しかし私が第一王子の侍女って、かなり責任重大なのでは?



「私に務まるのでしょうか?緊張して身体が震えてしまいますわ」


「うむ、それは私も正直不安だ。しかし王妃様はお前にしか頼めないと言うし。覚悟を決めて行くしかなかろう」


「私にしか頼めないって……」


「それは城へと行ってから、王妃様より詳しく話を聞かされるだろう。城へは10日後、迎えの者が来るそうだ。それまでに準備を済ませておくように」


「そんな早く?」


「仕方あるまい。すべてあちらからの命令だ」