「で、『どうして私が?』と思っているな?まあ、つまり。お前の熱い手紙を読み続け、お前しか頼めないことだと判断したらしい。……どれだけ熱の入った手紙を送っていたんだ?お前は」


いやそれはもう、王妃様の書く男性の素晴らしさやら、女性の儚さや美しさ、そして物語全体の尊さやら、言葉で表せる最大限の情熱を書きしたためただけでございます!


なんて父には到底言えるわけもなく、そこはやっぱり咳払いでごまかした。



「それは、……まあ。ともあれ話の内容は分かりました。王妃様のご命令とあらばお断りする理由もございません」

「ああよかった、話の分かる娘でよかった」

「それで私は誰の侍女となるのです?」

「ああ、それはな。王妃様の息子である第一王子だ」


……第一王子?


「そのお方は夜会でよく出席されている、あの派手な格好のお方でしょうか?でも名前が違うような……」

「おい、派手と言うな!しかもそのお方はリフィト王子、ライト王子の弟にあたるお方だ」

「ええっ?あの方が第一王子ではないのですか!?」

「まあそう思ってしまうのも仕方ないな。ライト王子は滅多に表に出てくるお方ではないから」