――私は小さい頃から、お伽噺を読むのが好きだったの。


どんなお伽噺でも、出てくる王子様は理想の男性。


すらりとした手足に、整った顔立ち。

髪はサラサラと風に靡き、光に照らされれば宝石のようにキラキラと輝く。

性格はとても穏やかで優しく、でも悪に対しては勇敢に立ち向かう。

国民はそんな王子様を慕い、結果国は終始安定を保つ。


ありきたりではあるけれど、それが私の理想の王子様。



いつかは私の前に現れてくれるかしら?


……なんてね。

そんなことあるわけないんだけれど。