何で自分でもそんなことをしているか分からなかった。





気付いたらこうなっていた。





「ククク……あっはははは!」




ふと、背後から紅斗の笑い声がした。





「何がおかしい?」




「凌君、君が殺すのは僕だけで良いのかい?」




紅斗の言葉に、彼は怪訝そうに眉をひそめる。




「何を言っ──っう!」




寿永隊長は何か言いかけたけど、突然口を押さえて膝をついた。





「寿永隊長!」




彼に駆け寄り、顔を覗き込むと私は目に飛び込んできた光景に言葉を失う。





何故なら、口を押さえた寿永隊長の指の隙間からは血が伝っていたから──。





「あはっ。父さんのかけた呪いが体を蝕んでるって明晴から聞いてたけど本当だったんだ」




紅斗は楽しそうに笑いながらこちらに近付いてきた。