「それに……。何だ?」
立ち上がって私に詰め寄り、問い詰めるような彼の声音に、言葉が詰まった。
「いや……その……」
「はっきりしろ。お前は何を知っている?」
私を睨む彼の目が怖い。
正直に話すべきかと口を開こうとした、その時──。
「その子は何も知らないよ」
その場に私の声でも彼の声でもない声がした。
私と彼は弾かれたように声がした方を振り向いた。
そこには白いパーカーのフードを目深く被った男の子がいた。
「此処は関係者以外立ち入り禁止のはずだが?表の警官は何をしている」
「そう、苛立たないでよ。邪魔されるのは嫌だったから彼らには少し眠ってもらっている」
フードの男の子は苛立ち気味の寿永隊長を宥めるように静かな声で言った。