『ほら、こっちこっち!』 私の目の前を走る幼い男の子。 彼は誰? 『待ってよー、──!』 私はその男の子を呼びながら追いかける。 知らない子なのに、私はその子の名前を呼んでいた。 でも、私はその子を知っている気がした。 知っているとかじゃない。 何処か懐かしくて、安心する。 まるで、あるはずなのにないと思っていた半身に出会ったような感覚。