「あ……あぁ……あ……」
生きて戻ってきたというのに、彼は死んでしまった。
私が切碕を殺せなかったから死んでしまった。
私が人を殺せなかったから寿永隊長は──。
『……お前が彼を殺したんだよ、紅緒』
ふと、脳裏で誰かが話しかけてきた。
前にもこんなことがあった気がする。
あまり覚えていないけど確か小鳥遊さんが殺されて、アンジェロさんが翔鷹に収容された時だった気がする。
あの時、確かに私の意識はあった。
でも、体は自分がやっているとは思えないほど酷いことをしていた。
あぁ、そうか……。
あれが本当の私なんだ。
人を殺せないと善人ぶっているのが偽りで、本当の私は酷いことが出来る悪人なんだ。
──じゃあ、出来る。
「あーあ、拍子抜けだね。僕の子供で僕の血を引いたのは一人だ──」
切碕が寿永隊長の頭を鷲掴みにしようとした瞬間、私は奴の腕を長刀で切り落とした。
肉が、骨が断たれる感覚に、体がぞくりと鳥肌が立った。
何、この感覚……。
「あぁ……気持ちいい……」
初めて感じた肉と骨を断つ感覚に、私は顔が歓喜に歪むのを感じた。



