「紅緒!殺るなら早く殺れ!そのままだと凌が死ぬぞ!?」
羽取さんが今にも切碕へ切りかかりそうな勢いで身を乗り出している。
……そんなこと言われなくても分かってる。
「無理ならやらなく良い!僕と才暉と侑吏でやるから!」
佐滝さんが心配そうな眼差しで私と寿永隊長を見ている。
……駄目、私がやらないと。
「紅緒……、止めるんだ……。紅緒は人殺しになっちゃ駄目だ……」
紅斗はふらつく足で立ち上がって、拳銃を下ろさせようとしてきた。
……人殺しになったって良い、それで皆を……大切な人を守れるなら。
私は紅斗の手を振り払うと、再び切碕に銃口を向けた。
狙いを定めて、トリガーに指をかける。
でも、指をかけるだけでトリガーを引くことは出来ない。
すると、目の前の切碕は呆れたような目で私を見てきた。
「君にはガッカリだよ、紅緒……」
赤い瞳が細められると苦しんでいた寿永隊長の動きがハタリと止まり、首を押さえていた手が力なく床に落ちた。
表情は前髪で隠れているから見えない。
ただ、見て分かるのは寿永隊長はもう苦しんでいない。
苦しんでいない……。
つまり、死んでしまったということ……。



