「紅斗と紅緒……それが双子である兄と私の名前……」
自然と震える体を押さえつけ、じっと切碕を見つめた。
すると、切碕は嬉しそうに目を細めて紅斗の頭を掴んでいた手を離した。
頭を圧迫されたせいか、頭から手を離されて自由になった紅斗は嘔吐する。
「紅斗!?」
私は紅斗に近付くと背中を擦る。
「紅斗と紅緒……。良い名前だ、僕の名前に子供に相応しい」
切碕は気分が良くなったのか私と紅斗の前にしゃがみ、顔を覗き込んできた。
「紅斗、君は僕に似ている。紅緒、君は……朱寧に似ているね……」
朱寧(アカネ)……?
聞き覚えない名前だったけど、切碕の言い方から推測するに私と紅斗の実母の名前だと分かった。
ふと、切碕の目の前を銀色の一線が横切り、切碕はそれを避けるように後方へ飛んだ。
「親子の感動の対面はそこまでにしてもらおうか、切碕。……まあ、その対面もすぐに終わるがな」
その銀色の一線は寿永隊長が切碕に長刀を振り下ろしたものだった。
寿永隊長の言葉に羽取さん達は臨戦態勢を取り、今にも切碕へ襲いかかりそうな勢いだ。
「それは困るな。もう少し我が子達と話したいんだけど」
「それは地獄にいる玖下の弟相手にやれば良い。死者同士でな」
寿永隊長は床を蹴ると切碕の方へ駆け出した。
──が、何の予兆もなく足を止めた。



