「父親を呼び捨てにするなんていけない子だね」




言葉で嗜めながらも、切碕は穏やかに笑っている。





初めて対面する実父は想像と駆け離れていた。





世間を震撼させた程の殺人鬼だというのに、そんな雰囲気は感じない。





寧ろ、優しそうな雰囲気だ。





「──ところで、明晴」





すると、切碕は安倍明晴へと視線を移す。





視線を受けた安倍明晴は待ち望んだ己が崇拝する男の復活に惚けていたが、ハッと我に返る。





「切碕様!明晴は貴方様の復活を──」





とそこで安倍明晴の言葉が途切れ、首がその場に落ちた。




「僕を蘇させてくれた君には感謝しているよ、明晴。でも、僕の復活に大切な仲間の命を犠牲にするのは頂けないな」




抑揚のない冷たい言葉と共に切碕は床に転がった安倍明晴の頭に足を乗せ、力を込める。





力の込められた頭は呆気なく潰れ、床へと爆ぜた。





殺人を犯すのに何の躊躇もない行動にやはり、切碕は世間を震撼させた殺人鬼なのだと理解する。




優しそうな雰囲気の裏にあったのは冷酷で残虐的な思考。





まるで、天使のような姿をした悪魔だ。






「さて、僕の可愛い子供達と感動の対面と行こうか」





切碕は血のついた足で一歩前に踏み出した。





そして、少し離れた場所にいる摂紀お兄ちゃんを見た。