紅の葬送曲



「覆面パトカーじゃないのに、出して良いんですか?」





「良いの良いの。それ、寿永隊長が前に車が多くて犯人を見失いかけたときに使ったまま置いていったやつだから」






「いや、良くないですよね!?」






「大丈夫、何かあったら寿永の命令だって言えば何とかなるから」





芦葉さんは前をまっすぐ見たまま、片耳にワイヤレスのイヤホンを付けた。





何とかなるって、芦葉さん……。






もうどうなっても知らないですからね!






私は助手席の窓を開けると車の屋根にパトランプを置いた。





と同時にパトランプはけたたましい音を放ち、芦葉さんはアクセルを思い切り踏み込んだ。






車はぐんっと一気に加速し、前を走る車を次々と抜いていく。





「あ、芦葉さん!いくらパトランプ付けるからってさすがにこれは……ッ!」




私はドアの手すりに掴まりながら運転席の芦葉さんに声をかける。




が、芦葉さんは無視してワイヤレスのイヤホンで後から来るであろう小鳥遊君と連絡を取っている。





「うん、詳しくは広瀬さんからデータ貰って。あと、浅井さんの拳銃とかもよろしくね」




き、聞いてないし!





私は恐怖で泣き目になりながら芦葉さんの運転する車で安倍明晴がアジトにしている廃ビルへと向かった。






……無事に辿り着けますように。






そう願いながら。