「……お前、凌に似てきたな。仕方ねぇな……」
広瀬さんはパソコンを操作すると、私のスマホにアジトのデータを送ってくれる。
「○○区の廃ビル、そこがアジトだ。良いか、場所は教えたが突入は江達の到着を待て」
「分かってます」
「本当だろうな?お前は自分が思っている以上に力がない、いくら芦葉がいるとはいえ容易に突入すれば返り討ちに遭う」
広瀬さんのストレートな言い方に少し傷付いたけど、事実だ。
アジトの場所さえ分かれば良い。
突入は大人しく小鳥遊君達を待つつもりだ。
──緊急事態が起きない限りは。
「分かってますって!」
私はスマホをポケットに入れると、芦葉さんと共に病室を飛び出した。
「廊下は走らないでください!」という看護師の声が聞こえたけど、私と芦葉さんは構わず走り抜ける。
エレベーターなんか待ってられないから非常階段を二段飛びで5階から1階まで一気に駆け降りた。
「こっちに車が停めてあるから!」
芦葉さんは病院のエントランスを出るなり、右側にある駐車場の方へ走ったから私もその後を追った。
少し走ると黒の乗用車が停まっていて、芦葉さんはドアのボタンを押すなりその車へ乗り込む。
私もその助手席に乗り込むと、車は直ぐ様発進した。
「ごめん。悪いけど、それつけて貰える?」
運転しながら彼が指差すのはパトランプだ。



