「広瀬、拾えたか?」
「はい、バッチリ。って、玖下さん、何つー所にいるんだ!?」
広瀬さんは持ってきていたパソコンで電話の通話から逆探知し、摂紀お兄ちゃんの居場所を見つける。
そして、その居場所に驚いたような声をあげる。
「何処にいた?」
「それが……安倍明晴がアジトにしていると思われる廃ビルなんです……」
「何!?」
安倍明晴達のアジトのいるってどういうこと?
敵のアジトに乗り込むなんて何でそんなことするの?
「それと、玖下さんの他にも紅斗がそこにいるみたいで……」
「紅斗が!?」
私は身を乗り出して、広瀬さんのパソコンを覗き込んだ。
画面には確かに紅斗の翔鷹でのIDと写真が映し出されていて、その隣には摂紀お兄ちゃんの写真も出ている。
何であの二人は安倍明晴のアジトなんかに……。
まさか、あの二人は──。
「……あの二人、死ぬ気だよ。復活した切碕とその仲間を道連れにね」
聞こえた声に、私はパソコンから顔を上げた。
上げた先には芦葉さんがいた。
彼はこれから死ぬ人の霊が見える。
そんな彼がそんなことを言っているというのは摂紀お兄ちゃんと紅斗は死ぬのだろう。
私は弾かれたようにベッドから飛び降りると、クローゼットから翔鷹の制服を取り出した。



