紅の葬送曲



「大丈夫か?」




耳に届く彼の心音と頬に感じる温もりに、自然と胸が高鳴る。





「だ、大丈夫です……つっ!」




ドキドキしながらも彼から勢いよく離れると、足がツキリと痛んだ。





「足挫いたか?とりあえず、そこに座れ」




捻挫とかではないとは思うけど……。




私は彼に促されるがまま近くにあったソファーに座った。





すると、彼は私の前に膝をついたかと思うと、挫いたと思われる方の足に触れてきた。




「軽く捻っただけみたいだな。捻挫でも無さそうだし、骨にも異常無さそうだ。どうした、顔が赤いぞ?」





それに加え、寿永隊長が見上げてくるように見てくるものだから私は耐えきれず視線を反らした。




「だ、大丈夫です。何でもありません……」




駄目だ、何か変だ……。




胸の音がうるさい。




これじゃあ、まるで私は──。