紅の葬送曲



何てことを思っていたら、




「勢揃いで遠くからでも目立ちますよ、この一角」




寿永隊長がワイン片手に現れた。





うわー、帰りたい……。




私は壮観なメンツが目の前にいることによって、さっきまでとは違う眼差しを向けられることになる。





さっきまでのが好奇なものだったとしたら、今は嫉妬に似たものだ。




三名家に気に入られたい、肖りたいというものはこの場にたくさんいるはずだ。




それなのに、三名家の方々はその場にいる人しか見ていない。




……とりあえず、帰りたい。





「どうした、浅井?」





寿永隊長は私の様子が変だということに気付いたのか、こちらに近づいてきた。




私はこれ以上目立ちたくなったから反射的に紅斗の影に隠れる。






「だ、大丈夫です。お気になさらずに」





翔鷹の隊長であり、寿永の人間として忙しい彼が私なんかに構っていてはいけない。





そう思ってやったことなのに、寿永隊長は物凄く不機嫌そうな顔をする。





「紅緒……。とりあえず、凌君に謝りな」




紅斗は呆れたような困ったような顔で、後ろにいる私を見る。




え、何で?




疑問に感じているのは私だけらしく、寿永隊長と紅斗以外のその場にいる人達は必死に笑いを堪えている。





え、意味わかんない。