「パンダの方がまだマシだと思うよ。向こうは愛されキャラだし……」
苦笑いを浮かべながら言うと、紅斗は私の頭をがしがしと撫でてきた。
そう、私達の存在は決して歓迎されるモノじゃない。
むしろ、嫌悪されるものだ。
すると、パーティー会場がざわりとざわついた。
「……君達が紅斗君と紅緒ちゃん?」
無意識にうつむいていた私の頭上から凛とした女の人の声がした。
顔を上げれば、そこには今まで見たことがないくらい綺麗な着物姿の女の人とスーツ姿の男の人が立っていた。
そして、二人の後ろから見覚えのある女の子が現れた。
「浅井さん、久しぶりー!」
「志摩様!」
二人の後ろから現れたのは前に翔鷹に現れた志摩様だった。
「様付けしないでよー!あ、紹介するね、パパとママ」
志摩様は唇を尖らせたかと思うと、隣にいる二人を紹介してくれる。
ご両親ということは……女の人の方が藤邦家の現当主……アリス様だ。
……この綺麗な人が切碕が人を殺してまで愛されたいと願った人。



