「え?こんなの寿永のパーティーに比べたら序の口だよ」




「え、寿永のパーティーに出たことあるの?」




「凌の誕生日パーティーにね。……あれはもう二度と行きたくないと思ったよ」





小鳥遊君はその時のことを思い出したのか、げんなりとした顔でシャンパンを煽る。





……確かに寿永のパーティーの方がもっと凄そう……。





でも、私には有名人ばかりだということ以外にもう一つ気疲れする理由があった。




ふと、目の前にウーロン茶が差し出される。




顔を上げれば、ウーロン茶を二つ持った紅斗が立っていた。





「紅斗」




「紅緒、大丈夫?」




私は紅斗が差し出すウーロン茶を受け取ると、頷いて一口飲んだ。





紅斗は私の脇の壁に寄りかかると、自分の分のウーロン茶に口をつける。





「あー、早く帰りたい。じろじろ見られて、動物園のパンダにでもなった気分だ」




紅斗が不機嫌気味に周りを見渡すと、遠巻きに私達を見ていた人達はそそくさと視線を反らす。




理由は分かっている。




此処にいるのは三名家や政府の関係者が多い。





つまり、私達の実父の切碕の生まれた人体実験を知っている人達で、その切碕の子供である私達の存在を知らなかった人達だ。