同時刻、某ホテルにて。
「も、もう帰りたい……」
綺麗に磨かれた窓ガラスにはげんなりとした顔の私が映っている。
外は酷い雨だ。
それに加えて──。
「総理大臣……各省庁の大臣……官房長官……。あ、あの人TVによく出てる社長だ……。あぁ、あの人は有名な俳優……女優……」
私はちらりと見たパーティー会場にいる有名人に、ため息が出た。
酷い雨が降りしきる今夜、翔鷹の創立記念パーティーが三名家の蓬條家所有のホテルの最上階で行われている。
三名家が援助し、活動している組織だけあって創立記念パーティーには有名人ばかり。
一般人である私には物凄く居づらい場所だ。
「浅井ちゃん、大丈夫?」
すると、料理とシャンパン片手に小鳥遊君が現れた。
「小鳥遊君……、よくこの空気に耐えられるね……」
小鳥遊君も一般家庭の育ちのはずだ。
それなのに、有名人ばかり揃うこのパーティーに不思議と馴染んでいる。



