紅の葬送曲



「その方法で切碕の復活を阻止する。恐らく、君達の呪いを解くのは難しい。でも、奴の復活が近いから呪いが強まっているのだとしたら……」





「切碕が復活を阻止すれば、呪いは緩和される……」




江の言葉に、紅斗は頷いた。





少し気掛かりな点があるが、今はそれにすがるしかない。




俺は別に犠牲になっても構わない。





でも、詩依や詩依の母親、志摩達のためにも切碕の復活を阻止して呪いを緩和させなければ。





「その方法っていうのは何なんだ、紅斗」




俺の問いに、紅斗の顔色が曇る。





「……黒いノートは切碕の血で書かれているのはもう知っているよね?」





あんな黒い紙に赤い文字……血の文字を書くなんてことを普通の人間がすることじゃない。




切碕が行ったからこそ、納得してしまう所業だ。





「知ってるよ。そんな気持ち悪いこと出来るのは君の父親だけだしね」




江は片方の眉毛を跳ね上げて、紅斗の言葉を鼻で笑った。




「……僕達は好きでアイツの子供に生まれた訳じゃないよ」





江からすればちょっと嫌味を言っただけだったようだが、紅斗からすれば言われたくないことだ。