「待って、僕の話を聞いてから死ぬ死なないの話をしてくれるかな?」
すると、これまで黙っていた紅斗が不満そうに眉をひそめながら抗議してきた。
「呪いを解く方法はない。俺は死ぬしか──」
「だから!僕は呪いを和らげる方法が載った本があったって言ったでしょ!その意味が分かんない!?」
紅斗は相当怒っているように見える。
でも、おこられる筋合いは無いんだがな。
何せ、紅斗は呪いを和らげる本があったことは言っていても、それ以上のことは何にも言っていないんだから。
「その意味が分からないから死ぬしか無いって凌は言ってるんだよ」
江は顔を伏せたまま、髪を乱暴にかきむしった。
「……ちゃんと説明しない僕も悪かった。逆ギレしてごめん」
紅斗は我に返ったのか冷静さを取り戻し、頭を下げてきた。
「それで、お前は何が言いたかった?」
「呪いを和らげる本の項目の中に≪魂の黄泉還し≫っていうモノがあった。黄泉還し……つまり、生き返った者をもう一度黄泉に還す方法のこと」
俺は紅斗の言葉にハッとする。
その方法が分かれば、切碕の復活を阻止出来るかもしれない。
三名家は20年かけても黒いノートに切碕の復活の為の呪いがかけられていることしか分からなかった。
それなのに、紅斗はあっさりと切碕の復活を阻止する方法を暴き出した。
この日ほど紅斗が味方になって良かったと感じる日はなかった。



