紅の葬送曲



目の前でシスコントークを交わしている二人を馬鹿を見るような目で見ていると、急に胸が苦しくなる。




「うっ……」




胸を押さえて座ったまま体を折ると、江が慌てて近付いてきた。





「発作!?大丈夫、凌!?」




「平気だ……。すぐに治まる……」





最近胸が苦しくなることが多い。





吐血や息苦しさは少ないものの、胸が締め付けられるように痛くなるときがある。





「凌君、これ」





ふと、紅斗はポケットにでも入れていたのかサプリメントケースを俺に差し出してきた。





「これは……?」





「切碕の残した呪術の本の中に呪術を和らげる方法が載った本が混じってたんだ。薬みたいだったから覚えてきて、此処の医療班に頼んで水無しで飲めるように作ってもらったんだ」





紅斗はそう言ってサプリメントケースを開けると、一粒俺に渡してきた。





信じるより試しに飲んでみた方が早い。





俺はそれを受け取ると飲んだ。




即効性なのか、不思議とすぐに胸の苦しさはなくなっていく。