「え?」
『お前には赤紫色が似合う……と思う』
寿永隊長はそれだけを言って、ぶつりと一方的に電話を切ってしまった。
私はスマホを耳から外すと、ディスプレイを見ながら呆けてしまう。
あの寿永隊長がどうでも良い質問に答えてくれた……。
「で、寿永隊長は何て!?」
京は期待の眼差しを私に向けてくる。
「赤紫色……だって……」
「ちゃんと答えてくれたんだー!やだ、寿永隊長ってば嫁は自分の好みで着飾りたいタイプなのねー!」
興奮気味の京はパーティードレスの中から赤紫色のモノを選ぶと、私に合わせるように当ててきた。
「似合うー!紅緒!これにしな!」
「うん……」
私は京の言葉に素直に頷いた。
さっきの彼の言葉には偽りを感じなかったし、何より彼が似合うと言ってくれるものを着たかった。
私はパンプスやボレロも揃えて会計を終えると、京とカフェに入った。
ランチを取りながらの京との会話は楽しかったけど、その間も頭の片隅には彼がいる。
不思議な感じだった。
彼のことが頭から離れない。
何でだろう──?



