「ちょっとごめん」
スマホを取り出してディスプレイを見れば、そこにはたった今名前が出ていた彼の名前が表示されている。
タイミング悪いな、ホントに……。
私は絶対京に茶化されるのを感じながら電話に出た。
「はい、浅井です……」
『俺だ。……何だ、声が沈んでるな。外出先で何かあったのか?』
何もありませんけど色々あったんですよ、貴方関連で。
なんて思っていても口には出せない。
「何もありませんよ。それで、何かご用ですか?」
『……そうか。あぁ、休みのところ悪いんだが、俺の眼鏡を見なかったか?いつもの引き出しに無くてな……』
「眼鏡?それでしたら、昨日紅斗が使ってデスクの二段目の引き出しに──」
『紅斗が?……あった。紅斗!お前、人の眼鏡を勝手に──おい、逃げるな!』
通話口越しに寿永隊長の怒号と紅斗の『あっはははー、ごめんねー』と遠くから楽しそうな声が聞こえる。
……この二人、何だかんだで良いコンビだよねー。