「明晴は切碕様に心酔している……。だから、蘇るのを待ってるんです……。彼女は紅斗様が敵ではなく、真の敵は明晴だと気付き殺されたんです……」





「貴女が此処に来たのは……」





「彼が黒いノートのコピーがある限り切碕様が蘇らないと言っていたので、明晴に奪ってくるように命じられたんです……」





アンジェラさんはカタカタと肩を震わせていた。




安倍明晴……、あの男は味方を何だと思ってるんだ?




安倍明晴が育ての親だと思うと、虫酸が走りそうだ。





「……明晴を信じた私が馬鹿だった……。切碕様が蘇れば、姉達を呼び戻してくれるって言いくるめられて……」




「切碕が蘇った所でいくら奴が呪術に精通しててもそんなことは出来ないと思うよ。むしろ、奴の方がそういうのは明るいでしょ」




紅斗は寿永隊長から手を離すと、拘置所の中に入ってきてアンジェラさんの横に座った。





「……まあ、それに気付いていながら助けなかった僕も僕だけどね……」




「紅斗様は悪くありません。私が明晴の口車に乗せられたから……」




アンジェラさんは首を横に振って紅斗の言葉を否定すると、うつ向いてしまった。