──が。
「何顔を赤くしてるんだ、阿呆」
仕返し出来たと言わんばかりに口角を持ち上げた寿永隊長は私の体をトンと押した。
押された先にはプールがある。
え、まさかの──っ!?
「安心しろ、プールの水は温水だ。落ちたところで風邪は引かない」
いや、そういう問題じゃないんですよ!?
プールに落とされるのがまずいんだ、私的には。
だって、私は──。
次の瞬間、私の体はプールに落ちた。
「プールはそんなに深くないからすぐに上がって──って、何故お前は溺れてる!?」
そんな寿永隊長の声が聞こえた。
そう、私は泳げない。
完全なかなづちではないけど、犬かきしか出来ない。
その犬かきでさえも突然落とされたものだから出来なかった。



