「うるさい……。僕はただ、大切な妹を託す彼がどういう男なのか見極めたかっただけだよ」
「で、どんな男だった訳?」
「馬鹿正直で不器用で……、優しい奴だっていうのは分かったよ」
紅斗はクスリと笑うと、私を見た。
「約束だ。紅緒、お前に全てを教えてあげる」
「その前に手当てしないと……。肋骨折れてるんでしょ?」
「大丈夫大丈夫、折れたのは防備のために入れておいた鉄板だから」
そう言って紅斗は服の中から真っ二つに折れた鉄板を取り出した。
かなり分厚い鉄板を折るとか、寿永隊長の足は無事だろうか?
「彼の足は平気だと思うよ。彼も折れたのが僕の骨じゃないって気付いてるし、それな何かなるような鍛え方はしてないだろうしね」
「……紅斗、私の心を読んでる?」
「読んでるっていうか何となく分かるって感じかな。双子だしね」
私達は男女の双子だからかあまり似ていない。
だけど、自覚は無いけど何処か通じるものがあるみたいだ。
「まあ、この話はこれで終わりにして。……紅緒、君はあいつのせいで全てを忘れ、記憶を改竄されている」
「改竄されている……?」
「うん。でも、今から僕の言うことは真実だから……」
紅斗は少し悲しげに笑うと、ポツリポツリと口を開いた。



