「寿永隊長!それ以上は止めてください!」
私は見ていられなくなり、寿永隊長を止めた。
これ以上はさすがに紅斗の体が持たない。
寿永隊長の力は圧倒的なのは紅斗も理解したに違いない。
「……興がそがれたな」
寿永隊長は紅斗を離すとため息を吐いて、立ち上がった。
そして、私の横を通りすぎるときに
「俺相手に本気で来ないなんて元々負けるつもりだったみたいだな、お前の兄は」
そう言い残して、武道場を出ていった。
紅斗は本気じゃなかったの?
つまり、紅斗は元々負けるつもりあんなことを言ったということ。
「いてて……」
「紅斗、お前は肋骨を折ってまで何がしたかったんだ?」
脇腹を押さえながら起き上がった紅斗を琉ちゃんは呆れたような目で見た。



