紅の葬送曲



ふと、寿永隊長は黒い書類を全て手に取った。




そして、次の瞬間それを破いた。





「寿永隊長!?何して──っ!?」




私は彼の突拍子もない行動に驚いたけど、更に驚くことになる。





何故なら、彼が破いたはずの黒い書類は破けることなくその形のままだった。





「何で……?」





「これが原本と同じ効力がある証拠だ。破けない燃えない消えない刻めない……どんな方法を使っても破棄できない」





寿永隊長は黒い書類をまとめ直すと、自分のデスクに置いた。





「これは寿永の金庫で保管する。誰がこれを悪用するか分からないからな」




「私達を信じてないんですか!?私達は切碕を憎んでます!蘇らせるなんて──」





「神原、落ち着け。俺はお前達を信頼している。でも、こうするのは同時多発的に狙われるより、一ヶ所にまとめて守った方が良いからだ」




寿永隊長は神原さんを宥めるように言っているけど、実際は他の三人にも言っているんだと思う。




その証拠に他の三人も不満そうな顔をしていたのに、彼の説明を聞いて納得したような顔をしていた。