「……だが、極秘裏に寿永がこれの研究を続けていた結果、分かったことがある」
寿永隊長の言葉に、小鳥遊姉弟は驚いたような顔をする。
「え、初耳なんだけど。姉さん、知ってた?」
「いや……」
寿永隊長が手元に置いて、最も信頼しているであろう二人が知らないと言うことは本当に極秘裏だったのだろう。
「当然だ。極秘裏の研究を知っているのは三名家と当時を知っている羽取さんと佐滝さんだけだからな」
本当に一部の人にしか知られてないんだ。
「それで、何が分かったんですか?」
当然地方に言ってる矢賀さん達が知るわけもないから寿永隊長に言葉の続きを促す。
「俺達からすれば朗報、紅斗達からすれば悲報だな」
私達には朗報で、紅斗達には悲報。
その手記に何か欠陥でもあったのだろうか?
「……原本以外にもう一冊あると呪いの効力が発揮されないらしい。これはコピーだが、一冊丸々コピーしてある。つまり──」
「黒いノートがもう一冊あるってことは紅斗達がどんなに人を殺そうと切碕は蘇らない!」
楠さんが興奮したように言うと、寿永隊長は「当たりだ」と口角を持ち上げた。



