紅の葬送曲



何が引っ掛かっているか分からない。





でも、何か引っ掛かる……。




何が……何が引っ掛かってる……?




「いっつ……!?」




突然頭が割れるんじゃないかっていうくらい痛み、私はその場にしゃがみ込んだ。




「浅井!」




「浅井ちゃん!?」




二人は駆け寄ってくると、私の前に屈んだ。




「どうした?」




「頭が……割れるくら……い……痛い……」




痛みに耐えながら寿永隊長の問いに答えると、ほぼ同時に頭の中に記憶が甦った。






『逃げろ、二人共!』




そう私と≪誰か≫に叫ぶのは翔鷹の制服を着た男の人。




そして、その男の人は背後から迫ってくる影から幼い私と≪誰か≫を庇うように立ち塞がった。




でも、男の人の体は影との距離が無くなった途端地に倒れ、血が私と≪誰か≫の体に飛んだ。