「……貴方は愛されてないと言っていましたが、貴方はちゃんと愛されてますよ。だから、優しいんです」




さっきまで辛そうな顔をしていたのに、今は穏やかに笑っている。




訳が分からない。




彼女が思っていることも言っていることも。




それなのに、何故……。




「だから、愛されてないなんて言わないでください」




何故、また涙が溢れてくる……?




俺は優しいのか?




だから、涙が出るのか?




でも、分かったことがある。





俺は誰かに『愛されている』と言ってもらいたかったんだ。




それを気付かせてくれたのは殺したいほど憎いと伝えた彼女だった。




彼女が傍にいれば、俺はまた何か自分が知らないことを知れるのだろうか?





彼女こそ優しい。




勝手で自己嫌悪に陥りやすい、優しくお人好しな馬鹿だ。