「俺が決めたからだ」
結局彼女に言えたのは苦し紛れのそんな言葉だった。
でも、それは彼女を逆に苦しませてしまった。
「答えになってません!寿永隊長、何で私なんですか!?」
彼女は瞳いっぱいに涙を溜めていた。
「……お前、あの人に何言われた?」
彼女は追い込まれると自分を見失う。
自分の正体を知った時も死を望み、俺に殺すように懇願した。
今も詳しくは分からないが、補佐官を辞めさせてくれない俺に理由を問い詰めてきている。
「……………………」
「黙っていないで、言え。何を言われた?」
問い詰めるような形になってしまうが、正直俺も彼女にどう接して良いか分からない。
父さんの仇の娘でもあるが、俺の補佐官であり仲間でもある。
彼女自身に恨みはないと言えば、嘘になるかもしれない。
でも、俺は彼女の上官。
私情に流される訳にはいかない。



