「寿永隊長、お願いがあります」
ふと、彼女はうつ向いて膝の上で拳を握りながら、
「私を補佐官から外してください」
震える声でそう言った。
……やっぱり、俺が気を失っている間にあの人に何か言われたな。
そうじゃなかったら、こんなことは言い出さないはずだ。
「何度も言ってるが、俺はお前を補佐官から外すつもりはない。決定権は翔鷹の隊長である俺にある、お前に拒否権はない」
「……なら、答えてください。何で私なんですか?」
「は?」
「補佐官なら小鳥遊さんでも小鳥遊君でも良いじゃないですか……。何で私なんですか?」
確かに菖が補佐官でも何の問題はなかった。
彼女が俺の補佐官にしておく理由なんか特にない。
でも、最近は何となく彼女を手放したらいけない気がしているから傍に置いている。
本人に言うまでもないと思うがな。



