「……貴女はやはり、凌の傍にいるべきじゃない」




私を冷たい眼差しで見つめてきた。




「貴女がいると、凌は正しい判断が出来なくなる。死に急いでしまう。凌はまだ生きられ──」




「いい加減にしろ!」





冷たい眼差しで、言葉で私に詰め寄る彼女を止めたのは寿永隊長だった。




寿永隊長は私を庇うように立つと、目の前の母親を睨み付けた。





「俺は俺自身の考えで動いてる。死に急いでもいない!彼女を責めるのはお門違いだ!」




「……凌、あの人が死んだのは彼女の父親のせいなのよ。それなのに、貴方は彼女を庇うの?」




「庇ってるつもりはない。彼女は俺の補佐官だ、守って何が悪い!?」





母親に怒鳴っている寿永隊長の肩が上下に動いている。




微かに見える彼の顔色が良くない。





「寿永隊長……?」





私は心配になり服を引っ張ると、彼の視線が私に向けられた。





「大丈夫だ……。お前のことは俺が……守って……や……る……」




途切れ途切れに言葉を紡いだかと思うと、彼の体が傾いた。




「寿永隊長!」




そんな寿永隊長を私は抱き止めた。




私が抱き止めた時には彼は完全に意識を手放していた。